大ヒットも納得!弱点ナシの王道エンターテインメント『かがみの孤城』辻村 深月

レベル4級(読書初級者向け)

この本は、読書レベルで言うと「4級 読書初級者向け」の本です
本を読むのが苦手な人でも読みやすいし、もちろん読書好きの人にも楽しめる本です。
「自分がどの読書レベルなのか」をチェックしたい人はこちらから

記事タイトルが何かの宣伝コピーみたいになってしまいましたが(笑)、話題のベストセラー『かがみの孤城(こじょう)』、読んでみました。
実は作者の辻村深月(つじむらみづき)の本は、個人的にそこまで好きじゃないですが、想像以上によかったです。レビューや感想が気になる人はチェック!ネタバレなしです。

文章の読みやすさ  ★★★★★
キャラクターのよさ ★★★★
先を読みたくなる度 ★★★
スッキリ爽快度   ★★★★
エロ度       

この記事で紹介しているのは、この本です↓

『かがみの孤城』のあらすじは?主人公は?

かがみの子城の表紙と感想レビュー
まだ文庫本になっていないので、ハードカバーの本を購入。

主人公は、中学生の女の子・こころ。不登校で、どこにも行けず部屋に閉じこもっている女子です。
ある日突然、こころの部屋の鏡が光り始め、そこをくぐりぬけるとお城があった、という少しファンタジー要素のあるお話。
お城には同じような境遇の子供たち7人が集められていて、鍵を見つけた人は願いをかなえられると言うルールだそう。みんなで鍵探しを始めるとともに、「どうしてこの7人が、なぜこの場所に」という謎も明らかになっていくストーリーです。

ブック船長
ブック船長

ちなみに『かがみの孤城』はコミック版もあるよ!世界観がそのまま絵になっていて感動!

漫画の絵がきれいで読みやすい!


ファンタジーってけっこう読むのつらいけど…

かがみの孤城の七月のページ
1章、2章ではなく、「五月」「六月」と順番に進んでいく。最初の「五月」の方で鏡の世界に行くので、テンポが早い。

ファンタジー系の話って、人によっては「え、こんなファンタジー、無理~」と本を閉じる人が多そうです。私もわりと苦手で、違う世界に行く系の小説は脱落しがち。
でも、辻村深月の『かがみの孤城』は、ちゃんと主人公も「え、こんなファンタジー、無理~」感を出しているので、読んでいて共感できるのがよかったです。

これは夢じゃないのかな、と思うのに、夢と明らかに違う。腰をぐっとつかんでくる女の子には重みがある。思ったら、改めてぞっとした。這うようにして、光を放つ鏡に向かう。
狼少女が叫ぶ。
「なんだよ、気になんないのか?目の前に城だぞ、こんな達者にしゃべる子どもだぞ。今から冒険が始まるかも、とか、異世界ファンタジー?とか、期待しないのか。子どもらしい想像力のひとつも働かせてみろ!」
「知らないよー!」
泣きそうな声で答える。
よくわからないけど、今ならまだ間に合うと思った。
引き返せる。なかったことにできる。
混乱が増しながらも、頭が徐々に冷静になってしまうのが怖かった。これ、夢じゃない

『かがみの孤城』辻村深月 p32より抜粋

主人公のこころがちゃんときっちり混乱しているのがいいですよね。読者にとって最初のハードルって「鏡から異世界へ飛ぶというおとぎ話的な設定を受け入れられるかどうか」
なので、主人公がさっさと異世界を受け入れちゃうと、読者は置いてけぼりにされた気分になります。かといって逆に、宮部みゆきの「ブレイブ・ストーリー」みたいに、異世界を受け入れるまでのパートがあまりに長すぎると「どうせ行くことになるんだからさっさと異世界に行けよ!いつまでぐだぐだしてんだ!」とイライラしちゃうので、『かがみの孤城』はそのへんのバランスがすごくよかったです。
宮部みゆきの冒険ファンタジー「ブレイブ・ストーリー」↓ 最初は退屈だけど、途中からは一気読み!

ブック船長
ブック船長

ちなみに、主人公が異世界をあっさり受け入れすぎて、私が読むのを挫折しそうになった小説は『滅びの園』です。詳しいレビューは下の記事で。

『かがみの孤城』ってつまらない?その理由は?

かがみの孤城の表紙のこころ
表紙のイラストは、女子中学生のこころ。多感な時期の女の子です。

私の周囲も『かがみの孤城』を絶賛する人ばかりですが、中にはつまらない、という人もいるでしょう。その理由を予想してみると、「女子中学生のうだうだした悩みや心情が共感できない」というところだと思います。

同じ年の人間なのに、彼女たちが、学校やクラスの、全部の権利を持っている気がした。
どの部活に入りたいと最初に言える自由、後から同じ部活を希望した子を「らしくないよね、やめたら」と陰で言える権利、どの子がイケてると決めて、自分たちの仲良しに選ぶ権利、担任の先生にアダ名をつける権利、——好きな男の子を真っ先に決めて、恋愛する自由。

『かがみの孤城』辻村深月 p108より抜粋

こころが、大嫌いなクラスメイトのことを思い返したシーンです。
中学生って周りの目が気になって、親や友達の小さな言葉に傷ついたり、自分のことを嫌いになったり、と多感な時期。主人公のこころを含む、城に集まった子供たちは、そういうナイーブな面を持ちつつ成長していきます。なので、中学生時代のそういう経験がまったくない人には『かがみの孤城』は共感できなくてつまらないかもしれません。
ちなみに、そういった成長話を軸にして「キーパーソンとなる狼少女はいったい誰なのか」「ここに集められた子供たちはどういう共通点があるのか」というミステリー要素が入ってくるので、続きを気になってぐいぐい読み進めることができます。

ブック船長
ブック船長

これは完全な「徹夜本」です!最後らへんは号泣でした…
他にも、おすすめの「徹夜本」を紹介した記事はこれ↓

けっこう分厚いけど、本が苦手な人でも読める?

かがみの孤城と、鍵のない夢を見るの表紙を比較
辻村深月の直木賞受賞作「鍵のない夢を見る」と「かがみの孤城」を比較。ボリュームが全然違う!

『かがみの孤城』は、悩みましたがカテゴリとして「4級:読書初級者向け」にしました。
けっこう分厚くてボリュームありますが、でも文章はすごく読みやすいです。あと、主人公が一人だけ(こころ)なので、視点も変わらずに時系列にそって物語が進み、読んでいて混乱しにくいのもポイント。読書好きではない人にもおすすめできる本です。
『かがみの孤城』は、私の周りでは、本好きな小学校の高学年男子・女子が何人か読んでいました。「すごく面白かった!まだこれを読んでいない人がうらやましい(=この面白さを味わえるから)」と言っていました。エロい要素・グロい要素もまったくないので、子供にも読ませることができます。
表紙のイラストがイメージがわきやすい↓久しぶりにいい読書したな、と思う1冊です。

ブック船長
ブック船長

ちなみに、辻村深月が直木賞を受賞した短編小説『鍵のない夢を見る』は、読書玄人向けの小説(主観)なので注意!

辻村深月が直木賞をとった「鍵のない夢を見る」↓ 面白いような、微妙なような、感想が難しい小説です。

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